医師研修案内

女性医師との座談会

育児とキャリア、どう考える? 女性医師×医学生

zadankai

自分が幸せでこそ、元気を分けられる

司会: 女性が医師として働くにあたって、子育てや仕事の両立、キャリアアップについて医学生としても不安があると思います。今回は、女性医師の方からお話が聞けたらと思って企画しました。

医学生A : まず、医師としてどんな働き方をされているのか聞かせてください。

三浦 : 私は入院設備のない診療所で働いてます。内科と小児科を主に診ているんですが、耳や皮膚の疾患から、赤ちゃんのワクチン接種、高齢者の往診や看取りまで本当に何でもやります。当然全てを大学で習ったわけじゃないんだけど、その都度一生懸命勉強しながら診ていく感じです。


医学生A :もともと診療所に行きたかったんですか?

三浦 : 最初は眼科に憧れてたんです。でも、初期研修で全科を回ったら「私まだ全然できてない!」と思って、もうちょっと幅広く勉強してから考えようと思ったんですよね。

棚橋 : 私は癌細胞などの診断をする病理医をしています。大学生の時は、顕微鏡を見て、標本を見てスケッチしてという病理学は「つまらないな」と思ってました。だけど研修医の時に、患者さんが肺炎になるとそれを診断して、治療して、家に帰さないといけない。そこであらためて肺炎というものが一体何でできているか?と考えた時、病気の根本を顕微鏡で見られることが、突然面白いと思えてきたんです。しかも、研修病院には当時病理医がいなかったんです。だったら私がやってみようかなと思ったのがきっかけです。人がたくさんいる中で抜きん出るのは難しいけれど、誰もやってない分野だったら自信もってやっていけるからね。



家田 一文医師
愛知医科大学 2000年卒業
名南ふれあい病院(外部研修中)

家田 : 私は大学を卒業した後「最先端でやるんだ!」とアメリカの研修に行って、朝3時から夜7時まで授業を受けて帰ったら玄関で寝ちゃうような生活をしてたんです。でもある時、急に自分が医者に向いてないんじゃないかと思って、仕事を辞めてカナダに語学留学に行きました。そこでホームステイ先のママに「なんでそんなに働くの?」って聞かれて、彼女達がすごく楽しそうに暮らしているのを見てたら、「私は退職した後、何の楽しみがあるんだろう?」って思えてきたんです。やっぱり自分の生活がきちんとあって、幸せだと感じられるから、診療の中で患者さんにも幸せや元気を分けることができる。だから今はまず家庭を大事にしています。子どもに何かあったら病院に一緒に連れて来て、外来の時も膝に子どもを置いて仕事してるんですけど。


皆:へえ!

家田 : そうすると患者さんも喜んで、全然しゃべらない人でも子どもに一生懸命喋りかけたりしてるんですよ(笑)

棚橋 : それが許される職場ってすごく温かいよね。


子育ても医師としての糧になる

医学生B : 普段、仕事と子育ての両立はどうしているんですか?


三浦 : うちは保育園がなかなか決まらなかったんですよね。 主人も仕事が忙しかったのでどうしようもなくてすごく困っちゃって、結局1年1ヶ月育休をとりました。でも医師という仕事は、いったんパート医になってもあとで復帰できるんです。柔軟にやりながら、とにかく辞めない、続けていくことですね。今は診療中に育児相談も受けるんですが、そういう経験もあって、自分が働いていることに罪悪感を覚えるお母さんの心理も理解できる。医者は自分の経験が何でも糧になる職業なんです。


棚橋 千里医師
名古屋市立大学 93年卒業
南生協病院 病理医

棚橋 : 私は使えるものは何でも使いましたね。ベビーシッターも病児保育も。だけど家で普通に子どもを見てる時に「解剖入ります」って電話がかかると、預けるところがない。そんな時は一緒に病院に連れていってビデオを観させておくと、解剖ってだいたい2時間なので、終わった頃に子どもも観終わってるっていう感じでした(笑)


医学生B : 家事は分担してやってるんですか?

家田 : 子どもが増えるにつれて分担するようになりました。最初は本当に何もやらない人で、何回も喧嘩を繰り返して、だんだん食器洗いと保育園の送りはやってくれるようになりましたね。

三浦 : うちは、平日は夫は家にいないんですよ。だけど土日は逆に私が仕事なので、その間は子どもを見ていてくれます。でも、子どもはビデオを観て、自分はパソコンっていう感じ(笑)


棚橋 : うちは、やれる方がやる。役割分担を決めてないので、早く帰ってきた方がやっています。

司会 : 育休でブランクが空くと、医師としてのキャリアに不安は感じませんか?


三浦 洋子医師
信州大学 98年卒業
みなと診療所所長

三浦 : ものすごくありますよ。本当にきちんと復帰できるのか、職場で自分が本当に受け入れてもらえるか…。でも私もだんだん図々しくなって「できる範囲内でしかできません!」と思っています(笑)仕事ができるようになると自然と役割が増えてくるんですよ。その恩返しのつもりで、今頑張っています。特に往診は介護者の方の支援も兼ねて行っているんですが、さらにもう一歩踏み込んで、介護している人が集まって、何でも話し合える場所をつくろうと思っています。あと育児中のお母さんたちが集まれる広場もつくろうと考えています。診療と直接は関係ないんですが、診療所は地域を支援していく場所でありたいと思ってるので、そんなことにも挑戦したいなと思っています。


棚橋 : 大病院だと、なかなかそこまで手が回らないんですよね。もっと専門特化した病気を診なきゃいけないので。病院と診療所は違いがありますね。その中で三浦先生がされていることは、ただ患者さんを診るだけじゃなく地域の健康な人達がどう安心して生活できるかということで、とても大事なことだと感じています。


学生時代に視野を広げて

司会 : 最後にアドバイスも含めて、大学生活の思い出を教えてください。

家田 : 一番良かったのは、他県で実習をしたことですね。長期間の実習に行くと他大学の知り合いができるので、その後交流できる可能性がありますよ。

棚橋 : 医学生のうちから、実際の診療現場を見たり、地域の往診に一緒に行くと、いろんなことが分かって面白いと思いますね。あと民医連の企画で、医学生が集まってどんな医師になりたいかとか、今の社会で起こっていることなどいろんな話ができる「医学生のつどい」もあるから、そういうところに行くのもお勧めですね。

皆 : どうもありがとうございました。